2012年10月13日土曜日

カラーミキシングの考察 Part 2


 舞台照明で利用される光源は、まだハロゲンランプも数多く残りますが、主要な部分では、かなりムービングライトフィクスチャーのHIDランプに置き換えられたようにも思えます。ここでは、舞台の主要な照明器具となったムービングライト、インテリジェントライトが利用する光源であるHIDランプの特性から、光の特性を決める色温度や演色性などについて考えます。


色彩を決定する光の波長

 我々が知覚する色は多くの要素に依存します。これは例えばその光源、光学系、そしてその光源を覆うフィルタとそのフィルタメカニズムまたはその物質のもつ波長により着色されて見えることを指します。本来われわれが、色を色として認識するというのは、物体に光が当たって反射したとき、その反射する波長がどの帯域によるかということです。例えば白色光によって照らされたバナナは黄色く見えます。これは黄色以外の色をバナナが吸収し,反射しないということでもあります。

逆に光源を黄色に変化させるには、フィルタは黄色以外の他の色をブロックすることによって、黄色を産み出します。どちらの場合も、黄色い波長は我々の目に届き、イエローとわれわれは認識するわけです。


(もしバナナに当てるその光源から黄色の波長が発生しない場合、バナナは黄色には見えません)

舞台照明業界において、今も数多くハロゲンランプが使用されますが、すでにムービングライトフィクスチャーが多数を占めるようになっており、特にカラーミキシングシステムにおいて、ムービングライトは主要なデバイスになっています。そしてこのムービングライトに利用される光源は、低電力でより高出力が得られるハイインテンシティーディスチャージランプ(HID)が最も多く使用されます。






HIDソースは、2つの電極の間のアークによってガラスチューブの中にミックスされたガスに電流を通すことによって、光を作り出します。光の色はチューブ中のガスとガス圧力、タイプおよび量の両方に依存します。こうして得られるHID光源の波長は太陽光や白熱電球のような連続的なスペクトラムではありません。

それは特定のガスの特性によって多くの鋭いピークから構成された波長です。この波長のピークをHIDランプのチャートから眺めると、可視光における波長帯域の中で均等にそのピークが存在するのがわかります。このピークを均等に配置することで実際には連続的ではない波長を準連続スペクトルにして近づけているといえます。そしてこの波長の分布によってそのランプの特性を決める2つの要因、色温度、演色性(カラーテンパチャー、カラーレンダリングインデックス)が決まるのです。

色温度

色温度とは、光のもつ色合いがどれだけ白いかを表すもので、例えば色温度が高くなると光は、やや青白くなり、逆に下がると黄ばんだ白に見える。この色の白さの度合いをケルビンという単位で表現したのが色温度です。われわれがよく目にするHMIMSRといった光源の場合、ほぼ共通して4500K〜6500Kの範囲に色温度を持っています。


演色性

物の見た目、外観はそれを照らす光の色に依存します。よって光源のカラーバランス品質を決定するためには、物体が光のもとにどう見えるかを見積もる方法が必要となります。
カラーレンダリングインデックスは、光源がどれくらい照射物の実際の色を再現しているかを表現するものです。

詳しくは8種類の定められた物体色に試験する光源と基準になる光源とを照らし比べて8種の色違いの度合いを平均し、100から引き算して得る平均演色評価数Raを用いています。そのほかさらに厳密な評価にはR9~R15を用います。

CRIは100に近づくほどよく、多くのムービングライトに使用されるHIDソースはほぼ70~95のレンジ内にあります。

レンズとリフレクターによる影響

ランプなどの光源だけではライトとして役に立ちません。その生の出力は、リフレクターによって集められてレンズを通して照射される必要があります。現在、非常に多く使われるコールドミラーは高出力のランプをコンパクトなフィクスチャー内に搭載することを可能としました。コールドミラーは、可視光をだけを反射し、目に見えない赤外線などの波長を反射しません。

赤外線のエネルギーつまり 熱はムービングライトフィクスチャーにおいては非常に大きな問題であり、コールドミラーの使用はそれをカットすることでこの熱の管理を容易にしました。しかし、このシステムが犠牲にする赤外線のスペクトルは赤という色を持つ波長であり、このミラーを使うことによりその波長がカットされるためにムービングライトは濃い赤が出せなくなる問題もはらんでいます。また、レンズも色の温度を低下させたり、グリーンの波長をカットすることで、光の品質にかすかに影響を与えています

ほとんどすべてのフィクスチャーの出力は使用する光源であるHIDソースに頼っており、このランプのカラー特性は中に封入されるガスによって決定されます。
この製造プロセスにおける誤差はガスの封入に影響し、そして、ランプの温熱環境の変化は光の量と品質の両方に影響することがあります。

では、もしすべてのランプが同じであったとして、それでもめったにフィクスチャーは同じ出力にはなりません。それはそのフィクスチャーモデルとミラーコーティング、レンズの材料でさえ作り出される光のキャラクターを顕著に変えることができるからです。

このような状況では、HID光源を利用するCMYカラーミキシングでは、どんなシステムを利用しても同じような出力は得られないでしょう。そこで次に登場したのがRGBのカラーミキシングとなるLED光源です。


つづく





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